ふと風に髪を弄ばれたとき、喧騒の中遠くで響いた声、傘に落ちる軽やかな雨音や、背中に残る微かな温もり。手を伸ばせば優しく包んでくれたり、何気ない仕草が同調してしまえば、思わず笑みが溢れることもあって。なんてことはない日常の切れ端。はっとして振り返ると、暫く見つめてしまう。あの柔らかな眼差しが、今も其処にいるのだと。ねぇ、けれど呟いた声は届かずに霞となる−−はなればなれ
11/16/2023, 12:19:33 PM