またね!
子どもの頃から、幾度も見る夢がある。黒っぽくて何処か靄がかかったような人が自分の頭を撫でて、「またね」と云う。目が覚めるとそこは病院で、自分は何やら死にかけていたらしいことを知る。そんなことが度々あった。
「今日こそ迎えに来たよ」
「行かなきゃいけないの?」
「…そうだね」
目の前で、父と母が僕の手を握っている。何か呼びかけているのだが、僕には聞き取れない。これでさよならなんだろうか。
「…何処に行くの?」
「次の場所。大丈夫、みんなそこへ行くんだよ」
「パパもママも来る?」
「必ず来るよ」
「…あなたについて行って大丈夫なの?」
「僕は案内役だから、ぜひ信じて欲しいんだけどな」
「だって、なんか死神みたいな格好なんだもの」
「…君たちがお葬式で着る色にしてるんだけど、何か変?」
「すごく言いにくいんだけど、マンガやアニメによく出てくるカッコつけた敵っぽい」
全身黒ずくめで、パパが「とっくり」と呼んでいるセーターと同色のボトム。僕はまだ子どもだけど、ついて行ってはいけない気がする。
「これじゃ駄目かな? 場所も宗教も選ばなくていいかと」
「カンコンソーサイは背広でってパパが言ってた」
「…担当者に相談してみる」
両親はまだ僕に呼びかけている。
「これで一旦最後だから、思い残したことがあったら伝えてあげてほしい」
「…ありがとうって。それから、」
またね!
4/1/2025, 4:25:57 PM