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「なあ一人でどこにいくんだよ、────。」
ああ、これはなんの夢だ。俺は誰を呼んでいる?
でも呼ばなければ、 ──は一人で行ってしまう。
「ごめんね。でもいかなくちゃ。」
振り返りこちらを向く君の美しい笑顔に涙が出る。
「だったら俺も、そっちに。」
「だめ。あなたはちゃんと生きて。大丈夫、ずっと
そばで見守ってるから。だから私を思い出にして。」
無理に決まってるだろそんなこと。だって忘れたくても忘れられないんだ、君がいた生活を。
視界が霞がかっていく。手を伸ばす。でも届かない。 


チチチ。鳥の鳴く声で目が覚める。
全て思い出した。今日は君が死んで3年。
未だに忘れたくても忘れられない君の声、あの笑顔。
まだまだ止まった時は動き出しそうにない。
「───でも、なんとか頑張るよ。」
何処かで優しく笑う声が聞こえたような気がした。


『忘れたくても忘れられない』

10/17/2023, 10:55:48 AM