東の空に呆れるほど綺麗な虹が浮かんでいたから、きみが心で泣いているしるしだと思った。
橋を渡ってもきみがそこにいないことは知っているから、わたしはきみのいちばんすきな色だけを踏まずに、この馬鹿みたいな道を勝手に通ります。
遅すぎた太陽が雲の隙間からこちらを覗き見ている。なんでもない泥濘に沈んで動かない偽物のほうが透きとおっているのは、待ち合わせの時間に来たことが一度もないからだ。
月でも星でもなんでもいいから、いつでもきみに寄り添ってくれるひかりが、ちゃんとどこかに灯っていたらいいな。
今日のきみは顔をあげて太陽を見られただろうか。
せっかく来たのにあいつはすぐに隠れてしまった。
夕方の風はすこし肌寒くて、涙のつぶに濡れた緑からさみしい雨上がりのにおいがした。
(どんなに離れていても)
4/27/2025, 7:29:33 AM