未知亜

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 お気に入りのぬいぐるみと並んで眠る陽翔の寝顔を確認してリビングに戻ってきたら、あなたは律儀にまだベランダで待っていた。
「ぐっすりだったよ? なにもここまで徹底しなくても……」
 私の報告に、あなたがシッと指を口にあてる。
「聞こえたら台無しじゃないか。念には念を入れたほうがいいって」
 ささやいた手がサッシを閉めた。カーディガンに袖を通し隣に並ぶと、私たちは会議の続きを始める。来年小学校に上がる息子がサンタクロースから受け取る予定の、贈り物の中身について。
「クリスマスを思い出す時さ」
 候補があらかた絞れると、私は空を見上げた。
「うん?」
「当日とセットで、たぶんこの景色もくっついてるんだろうな」
 そうだねと、あなたが楽しそうに笑う。冬のほうが、星は明るく見える気がする。

『凍てつく星空』『贈り物の中身』

12/3/2025, 9:59:31 AM