『ここではないどこか』
花弁が舞う桜並木で人と擦れ違いざま、触れ合った肩に微弱な電流が走ったかのような感覚に振り返ると此方を見る青年と視線が交わり、脳裏に見たことも無い光景がフラッシュバックする。
初めて会うはずなのに妙に懐かしさを感じてしまうのは何故?
お互い動かないまま視線は絡み合ったままで。青年は私を見て目を丸くしつつ何かを言おうとして戸惑っているみたい。
私の鼓動は早鐘を打ち始める。
数瞬の後、最初に口火を切ったのは私だった。
「私達、以前会ったことがありますよね?」
ここではないどこか
今とは異なる時間軸の異世界で。
6/27/2022, 10:46:28 AM