視界がどろっとしたものでおおわれて、あぁ、これは自分の血なんだそう理解するには時間がかからなかった。あかくあかく染まる視界の中で世界がじわじわと、自分の血と汗が混ざって。滲んでゆくくらい、こわい、視界が機能しなくなって、自分がどう感じているかもそもそも目を開けているのかもぜんぶぜんぶわからなくなってでも耳の奥底の方で静かに波の音がして、ちょっとあんしんした。
8/15/2024, 4:15:09 PM