赤いヘッドホン

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誰だって感情が抑えられなくなるときはある。
誰かに話したい。
胸の内をさらけ出したい。
そんな風に。

しかし、一歩踏み出せない時がある。
相手に迷惑をかけたくない。
自分の心を晒すのが怖い。
そうやって臆病風に吹かれて。

だから、自分の気持ちは文字で綴ろう。
この心を紙に映して折り畳もう。
誰に届くか分からない。
誰にも届かないかもしれない。
そんなやり方で、見知らぬ誰かに明かそう。

……ある日、空が白み始めた頃。
砂浜で一人、紙の入った瓶を持って。
私は、その行方を海に任せた。
誰にも見えない一歩を、踏み出した。

____溢れる気持ちを、瓶に詰めて。

2/6/2023, 1:50:20 AM