泡沫

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夕焼けに染まる思い出の地。
あの頃はまだ幼かった二人が、たまたま近所の公園で会っただけだ。
何度か会う度に、話して、遊んで、仲良くなって。一緒に笑い合う日も怒る日も、肩を並べて戦う日もあった。
別に約束をしていた訳じゃない。でも不思議と二人は顔を合わせた。嬉しい日も、喧嘩した後の日も、寂しい日も。
約束、しておけば良かったな……
何も結んでないくせに、会える事が当たり前だと勘違いし、唐突に関係は終わる。
一人が来なくなった。まあよくあるこの後出会う為の別れみたいなものだ。子供は何も聞かされず、唐突に今までの人生が変わった。隠蔽は大人の得意分野だからだ。だから、離婚し家族がちりじりになることも知らなかった。
本当に再会出来たら、良かったけどなあ……
物語のような上手い話なんか無く、それからまた公園に戻ってきたのは大人になってから。今じゃ堅苦しいスーツなんか着て、ブランコに子供みたいに座っている。
もう子供は帰る時間だ。夕焼けは徐々に夜へ。そのせいか気分は下がっていった。
せめて伝えることが出来たらな……
今まで、会って笑った絆は積み重なっても、約束が無ければ、言葉が無ければ結びは無い。大人のせいだろうが、言われてない方には裏切りも当然だ。
裏切り者の気持ちを表すかのように、夕焼けはもうすぐ溶ける。残りの明るみはもう、すぐに落ちてしまうだろう。
影が薄く伸びるのは、今だけだ。

2/1/2022, 1:48:00 PM