一生懸命な君を見るのが好きだった。
同じ日に、同じ病院で生まれて、同じ街で育ち、同じ学校に通った。ずっと一緒だった。だから君のことは、よく見ていた。
君は負けず嫌いで、負けるとすぐに頬を膨らませていた。諦める、なんて言葉を知らないように、まっすぐでひたむきで。
眩しかった。目がくらみそうで、それでもやっぱり、君から目が離せなかった。僕は君のようにはなれない、だなんて落ち込んだりもしたけれど。結局、君を疎ましいとか、嫌だとか、そんな風に思ったことは一度もなかった。
きっと僕は、君のことが好きだった。
なんて。
もっと早く、言えばよかったな。
君は病に侵されて尚、それでも毅い人だった。僕は苦しむ君に、好きだ、なんて告げる勇気を持てなかったけれど。弱気な僕に比べ、君はどこまでも強くて、眩しくて、うつくしい存在だった。――最期まで。
今も夢に見る光景がある。真っ白い部屋の中、痩せこけた頬を擦りながら笑う君の姿。痩せちゃった、太り甲斐があるね。そんなことを言っていた。
君は炎だった。魂を懸命に燃やすような、そんな生き様だった。燃え尽き、残った僅かな灰を、僕はみっともなくも掻き集めている。灰に残った微かな火種を、探すように。
僕の冷え切った心にもいつか、君の力強くも温かな炎が灯されるようにと願いながら。
テーマ「命が燃え尽きるまで」
9/15/2024, 9:14:33 AM