hashiba

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おそらくは、妙なところで強情な彼なりの気遣いである。掃除や料理は家主の許可なく好きにするのに、ベッドで一緒に寝ることだけは彼から絶対に言い出さない。他人の寝室に入るのを躊躇う気持ちはわかるが、一応恋人同士であり釈然としないものがある。今日も既に夜が深い。ソファで半分寝落ちしている彼の手を引く。眠いならでベッドで寝るように、と寝室へ連行しながら何度目かの小言。後ろを向かずに、嫌か、と短く問えば、小さく首を横に振る気配。嫌ではないらしい。なら良かった。扉を閉めて抱きしめれば大人しく懐いてくる。これ以上を、と一瞬思ったが既に彼はほぼ寝ている。歯痒いけれど一応、前進ということで。


(題:ルール)

4/25/2024, 4:52:29 AM