題 繊細な花
私は登校の時、いつも花を見る。
ふと目に入るんだ。小さなピンクの花。
花弁がたくさんあって、何で目に入るかと言うと、周りに沢山の白い花が囲んでいるから。
同じ花々なのに、真ん中だけ赤いお花で。
それが不思議で、私は登校の慌ただしい朝でも目を留める。
優しい風にそよそよと吹かれて、気持ちよさそうだ。
雨上がりの日は、水浴びをしたような雫をたたえて地面から心なしか元気にぴんと伸びているようにも感じる。
その花を見るのが毎日の日課になっていたんだ。
頑張って一生懸命生きているのが、頑張って学校に行っている私の姿と重なったのかもしれない。
私にとって、学校は試練だと思っているくらい辛いから。
毎日重い足取りで進んでいくけど、そのピンクの花を見ると、涙腺がかすかに緩む感じがする。
じんわり涙が沸くような。
弱っているからなのかな。
梅雨が訪れて、台風の時期になった。
台風が通過していった日の翌日、ピンクのお花は倒れていた。周りを囲む白い花たちも倒れて・・・。
そして枯れていった。
私は・・・その姿を見て泣いてしまった。
私の中の日常が一つ壊れた。
私の中の意識もしていなかった支えが枯れてしまった。
それでも、時間は進む。
次の日も次の日も、私は学校へ行った。
でも心は以前と同じじゃない。
頑張っている存在を見ることが出来なくなったから。
ただ一つでも小さくても繊細でも・・・。
私の心のどこかで希望だったんだ。
あの花は、私だったんだ。
何も無い枯れた草むらを見て涙を流す。
失っても失ってもこれからも生きていかなければならないのだろうか。
こんなに些細なことで泣いている私に、耐えられるんだろうか。
私は拭っても拭っても溢れてくる涙をまた手のひらで拭いながら、空を見上げた。
私の心の支えが出来ますように。
確固たる揺るがない支えがこれから現れてくれますように。
そうして空に祈ったら、少しだけ心が軽くなった気がした。
私はまた手のひらで涙を拭うと、少しだけ軽くなった足取りで歩き出したんだ。
6/26/2024, 8:28:08 AM