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d!の薔薇話です。
苦手な方はほんとごめんなさい
公開されるって知らなかった💦


日が昇る少し前 ,
まだ空は暗い時間 .

ふと意識が起きた .

目を開けて見れば ,
隣には愛してやまない彼がいた .

ただその日常の些細な幸せが ,
何よりも嬉しくて ,
可愛らしい寝顔を晒す彼に抱きついた .

彼の体温が伝わる .

少し低めで ,
でもどこか温かい .

彼らしい , 彼の体温 .

また段々眠気が起こる .

「おやすみ」

小さく呟いて ,
私は再度眠りに落ちた .


「ん … 」

嗚呼 , 現実だ .

今度は外がとても明るくて ,
カーテンから差し込む光が
とても眩しい .

でもどこか , 優しくやわらかな光は ,
彼を思わせる .

懐かしい夢を見たからか ,
あの頃を懐かしんで ,
感傷に浸る私がいる .

もう泣かないと決めたと言うのに .

しかしまぁ ,
今日ぐらいはいいだろうか .

なんてったって , 今日は彼の命日なのだから .

久しぶりに戻らない日常を振り返って ,
頬に涙を伝わせる .

戻らないとわかっているから ,
やり直せないと分かっているから ,
ああしておけば ,
ああ言っておけば .

伝えていれば ___ ,

「泣かんで」

ふと背中に彼の体温を感じる .

夢でも幻でもない .

彼の声 , 彼の体温 .

思わず振り返ったが ,
そこには誰もいなかった .

嗚呼そうか ,
彼は逢いに来てくれたのだ.

夢の中でも , 現実でも ……

「ゾムさん , 大好きです」

涙を無理やり引っ込めて ,
嗚咽混じりに呟いた .

それに応えるようにして ,
空いた窓の隙間から ,
優しい風が流れてきた .

彼は , どこまでも優しい .

いつまでも ,
いつまでも ……

彼は愛おしい唯一の人 .


お題:やわらかな光 2024.10.17

10/17/2024, 2:44:29 AM