シンデレラも、白雪姫も、美女と野獣も。
さもハッピーエンドのように飾り立てられたお伽噺のそのどれもが、真にハッピーエンドとは言えないのだ。
王子がプリンセスと幸せなキスをして、めでたしめでたし。
本当に?
昔から、こんなことばかりを考えている子供だった。
保育園の読み聞かせの時間、先生に何度もこの質問を投げかけて困らせたことは数しれず。
親にだって呆れられた。
『お姫様も王子様も、想いあって結婚できたんだから幸せでしょ。』
溜息混じりに言われた言葉が、どうしても僕には信じられなかった。
ヴィランとして登場するキャラクターにだってそれぞれの人生があって、考えがあって、そうやって生きているはずなのだ。
それらを全て切り捨てて、「悪役を成敗してお姫様は幸せに暮らしました。」なんてエンドがハッピーだとは、僕は思えない。
誰かのハッピーエンドは、別の誰かから見たらバッドエンドなのだ。
そんな僕の人生は、この考えにいつも振り回されている。
他人の幸せを傷付けるのを恐れるあまり、自分の人生のハッピーエンドを選び損ねている。
結局この世界は、誰かがバッドエンドにならないとハッピーエンドは勝ち取れないのか。
そんな冷めた絶望を半ば抱きつつあった。
そんな折、僕は王子様に出会ってしまった。
ありとあらゆるバッドエンドを全て鼻で笑うような、そんな傲岸不遜な男の子。
僕が他人を傷付けるのを恐れて何かを諦めようとすれば、その選択を笑い飛ばして、僕が諦めた何かを別の所から持ってくる。
持ってきた先の子は、別のものを貰って、幸せそうに笑っていた。
誰より傲岸不遜で、傲慢で、けれど皆の太陽みたいな王子様。
僕は初めて、他の誰がバッドエンドになったって、彼と見るハッピーエンドが見たいと、彼なら、こんな僕と一緒でも誰も傷付けずハッピーエンドを見せてくれると、そう思ってしまった。
テーマ:ハッピーエンド
3/30/2026, 8:46:29 AM