無音

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【161,お題:冬晴れ】

木枯らしが吹かず、昼間は少し暖かいそんな日
こぎつねがひょこひょこと森を歩いていた

一歩進む度に細い脚が雪に沈む、その感覚が珍しく
泳ぐようにして大雪が積もった森のなかを、ひょっこひょっこと不格好に歩いた

『こんにちは、何をしているの?』

雪に埋もれていると、すぐ横から小さな声
見ると、こうさぎが首をかしげて雪の上に座っていた

『こんにちは、散歩をしているんだ』

ひょっこりひょっこり、雪に脚を取られながらこぎつねが進む

ぴょこぴょこぴょこ、雪の上を軽々と移動しながらうさぎが追う

『歩きづらくないの?』

『すごく歩きづらい。...ところで、君は何でそんなに軽々と動けるの?』

こぎつねはこうさぎの脚に注目した、こうさぎの脚は短くて平べったい
より多くの面が雪をとらえ沈みにくくなっているのだ
加えてこうさぎはこぎつねの身体よりもずっと小さい、身体が軽くて動きやすいんだろう

『僕の脚は特別だからね』

こうさぎがふふんと胸を張る、こぎつねはくしゅんと一つくしゃみをした

『雪で濡れたから寒くなってきた』

『それなら僕の家においでよ!』

ぴょんぴょんこうさぎが跳ねるので、キラキラと雪が飛んだ

『じゃあそうするよ、よろしくこうさぎ』

『うん、よろしくこぎつね』

ひょっこひょっこ、ぴょこぴょこぴょこ
2匹は並んで冬の森に消えてった

1/5/2024, 1:17:55 PM