白蓮

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人が亡くなった時、
あの人は星になったんだと言う。

星に例えるのって、すごく、お洒落だ。

星はまず、夜にしか見えない。
そのうえ晴れていないといけない。
私たちが星を見たいと思った日には
見られないかもしれないし、
その逆も然りだ。

星というのは実に気まぐれな振る舞いを見せる。
でも、こういった星の持つ不確定要素の多さは、
言い換えれば"自由"じゃないだろうか。

会えるかどうかは運次第、
私たちの意思には平気で反してくる。

故人と星を重ねた時、その共通項は"自由"なのだ。

そしてもう一つ、
人は忘れられた時に死ぬという言葉もある。

夜空はその実、
私たちが数えられる量を遥かに超えた、
光の届かない星で埋め尽くされている。

見えない星は、忘れられた人なのかもしれない。
もしくは、長い月日を経て、
故人を忘れなかった人が同じ場所に来たから、
探せるように光る必要がなくなったのかもしれない。

俗世にも、私たちにも縛られず、
自由に空を旅するかつての人を想う。

3/11/2025, 11:34:03 AM