君が見た景色
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僕には苦手な奴がいる。
「嫌い」じゃない。「苦手」なのだ。
こればかりは仕方のない事だと思っているが、正直そいつが目に入ってくると鬱陶しい。
そいつは俗にいう嫌われ者で、いつもグループに溶け込めていない。
えっ!なになに?何の話!?
ほら、今日も聞こえてくるそいつの声。
そいつは周りからはわざとのようにからかわれ、いつもクスクスと笑われる。きっと本人も気付いているだろう。どっちも懲りないな。なんて思う日々。
からかわれたら普通そいつを嫌いになるだろ。
何で嫌いにならないんだ?馬鹿なのか?そういうところだよ。僕の癪に障るのは。嫌な奴は、苦手なやつは一切関わらなければいい。
それなのに関わろうとするそいつは、いつもニコニコと笑っている。もっと「賢い生き方」ってもんがあるだろうに。
ある日、ふとそいつに聞いてみた。
なぁ、何であんなにあいつらと関わろうとするんだ?お前本当は嫌われてるって気付いてんだろ?嫌ならそいつらと関わらなければいいのに。
知ってるよ。
そいつはそう答えた。
は?何だそれ。馬鹿なのか?
僕はそう思った。すると、
嫌じゃないし、嫌いでもない。「苦手」なだけ。
けどさ、苦手なだけで関わらないなんて勿体ないじゃん。流石にもう無理!ってなったら離れるけど!
そう言って僕に笑って見せた。
こいつは相当な馬鹿だな。
馬鹿というか、純粋というか、なんというか……
とりあえず分かった事がある。
君の目を通して見たこの世界は、君が見た景色は、きっと僕より鮮やかで、もっと単純だということ。
8/14/2025, 1:03:47 PM