H₂O

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雪を待つ


待ち合わせの時間はとっくに過ぎていた。
時計の針は約束の時間から二周近く回っていたが、それでもまだ君のことを待ちたかった。
久しぶりだから、と張り切って着てきた服もすっかり冷えきって、手袋をしているのに指先がかじかむ。吐き出した息が白い。
だんだんと空には雲が立ち込めて、雪が降るかもしれませんね、と今朝のニュースキャスターの言葉が思い出さされる。
なら、雪が降るまでは、君のことを待とう。
早く雪よ、降れ、なんて体は訴えるのに、頭が、心が雪なんて降るな、なんて考えるから、思うから。自分でもバカだなぁ、なんて思う。
だから、君が来るまで待とうなんて、もう思わない。ただ雪が降るのをずっと待っていた。

12/15/2022, 1:38:24 PM