お題《脳裏》
現実は鈍色にくすんだ、まがいもの。
教室の喧騒から遮断された世界にわたしはいる。
脳裏に住む少年――ナナシは今日も笑顔で、わたしを迎えてくれる。
「今日も外の世界は騒がしいね」
「そうなの。先生の話はつまらないし、周りは毎日くだらない日常話ばっかり」
「はは、まさにそのようだ。ほらまた弱い者いじめしてるよ」
「松田くん――標的にされてるんだよね。かわいそうに」
同情はするが、めんどくさいことに関わる必要はない。
「ほら、そろそろ休憩時間終わるよ。行っておいで。――ここで、待ってるから」
「うん、いってきます」
夢から現実へ――。
11/9/2022, 2:12:43 PM