*10/24「行かないで」の続きです。
──ただいま。
長い長い七日間がようやく終わった。
初めての遠征先は首都から遠く離れた山奥。魔獣の生息域や個体数の調査は勉強になったけど、電話が繋がらなくて知り合いと連絡が取れないのが辛かった。
特に、出発の間際に爆弾を落とした同居人と。
***
遠征の疲れで重だるい身体に鞭打って、家への道を早足で行く。調査書の提出は後日で良いとのことだ。部下への理解がある上司は、こんな時でも優しい。
久しぶりの街並みに思いを巡らせる余裕も無く、ひたすらに足を動かし続けた甲斐あってすぐに家に着いた。
魔法錠を開けて、荷物と一緒に中に身体を滑り込ませる。玄関には見慣れた靴が綺麗に揃えてあった。もう帰ってきているらしい。残業の多いあいつにしては珍しいことだ。
「ただいまあ」
荷物を引き摺りながら廊下を歩く。おかしい、リビングの明かりは付いてんのに人気がない。
「居ないのか?」
暖色の照明が灯る広い部屋を覗き込むと、灰色の髪がソファからはみ出ていた。
「お?」
(永遠に)
11/1/2024, 12:58:29 PM