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『プレゼント』

はあ、いちばん嫌な季節。幸せに満ちた2人組の横を通り過ぎていくと同時に、あなたとは結ばれないことを痛感してしまう季節。いちばん、心が冷え込む。

「ねえ、」

放課後、いつものように勉強していたわたしは、誰かに声をかけられて、振り向いた。

「クリスマスなのに1人で勉強してんの?悲しいヤツ」
「あんたも一緒でしょ」
「それを言うな」

隣に座った彼。苦しいだけなのに、なんでわざわざこんなこと。どうにかして彼をこの場から追い出したかった。私の傷口に塩を塗らないで。余計、わかってしまうでしょう。でも彼は残酷で、楽しそうに話を始めるのだった。

「あ、そうだこれ。あげる」
「……ん?…なんで」
「ほら、いつもお世話になってるから」
「…ええ………」
「なんだよ!」
「いや、…ありがとう、わたしも今度持ってくるね」
「よっしゃー!」

不意に手渡されたものは、綺麗にラッピングされたプレゼントのようなものだった。唖然として、言葉を紡ぐので精一杯で、今なら槍が降っても不思議には思わない。プレゼントを開けてみていいか聞くと、いいよと返ってきたので、そっとラッピングを剥がす。美味しそうなお菓子のパッケージが顔を覗かせた。

「え、美味しそう」
「良かったら食べてくださ〜い」
「……ありがと」

外を見ると、雪が降っていた。やけに寒いと思ったのは、そのせいなのか。…いや、本当は少し温かさすら感じている。もう、今のわたしは何が何だかわからない。

どうか、雪が深く深く積もりますように。きっとそうしたら、私の想いも隠してくださるでしょう。そうしてまた、何事もない日常がやってきますように。

12/23/2024, 11:01:01 AM