「ねぇ、知ってる?」
友達が口を開く。
「何を?」
「いや、なんかさ、ネットで話題になってる、誰かの予言」
「知ってるよ、それくらい。有名な予言者が、一年前くらい前に言い始めたんだっけ」
「…そうだね」
予言者の“予言”。
今、世界中が注目していると言っても過言ではない。
予言の内容は以下の通り。
【世界が何らかの影響で、一年後の午前12時きっかりに滅ぶ】
その予言者が見た夢の中では、時計の針が12時になったと同時に地球が爆発したらしい。
そこで夢から目覚め、夢の中では明るかったことから午前12時だと言い切った。
しかし、世界には時差というものがあるから、実際日本が滅ぶとするなら何時かは分からない。
その予言がSNSに投稿されたのが、丁度、今月の二日後。
つまり、もしも本当に世界が終わるとすれば、後二日しか猶予が残されていないのである。
「本当に滅亡したらどうする?」
面白そうに聞いてくる友達に、馬鹿馬鹿しいと視線を送った。
「特になにも出来なくない?別にお金が増えたわけでも無いんだし」
「夢がないなぁー。見てよ、今日のトレンド。こんなに話題になってる」
「知ってるー!話題になったのって結構最近だよね」
とか言いながらスマホをいじる。
「どっか行く?」
「馬鹿だね。そんな金ないよ」
「いやいや、二駅行って帰ってくるくらいのお金あるよ」
「なにすんのさ」
「そんなん別に、ぶらぶらしようよ。短い人生だったねーって言いながら」
「………そう言えば久しぶりじゃない?」
「なにが?」
「どっか行こうって誘ってくるの」
「あー、そうかな?」
スマホをしまって顔をあげる。
「行く?」
「え?マジ?」
「この時間帯って人いないんだね」
結局電車に乗ることにした。
「こんなもんじゃない?」
車内は誰もいない。
誰も座っていない椅子が哀愁を放っている気がした。
「このまま、なんかの都市伝説みたいに、数年経過したりしないかな」
「あー、話題になってたやつか。確かに」
「でも、世界が滅亡しなかったら、悲しいだけだよね。二人だけ過去の人で」
「世界がなくなってても悲しいでしょ」
「どっちが悲しいと思う?」
「……世界がなくならなかった時」
「分かる」
電車は相変わらず、二人だけを乗せて走っていった。
だんだん日が落ちて、空は茜色に染まっていく。
濃い影を落として、私達二人はただ何をするでもなく、電車に揺られていた。
もしも世界が終わるなら
9/19/2025, 10:24:22 AM