「あの日の温もり」「迷惑かけて…ごめんね、私の分も…幸せに…生きて…ね。」それが、母の最期の言葉だった。俺の母は末期の癌を患っていた。辛い闘病生活の末、最期まで苦しんで逝ってしまった。人の死に立ち会うのはあれが人生で初めての経験だった。握っていた母の手から徐々に母の温もりが消えていくあの感覚は、俺に深い絶望感と…己の手の中でひとつの命の温もりが消えてゆく、得も言われぬ興奮を覚えさせた。
2/28/2025, 10:56:21 AM