るね

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好みがすごく分かれそうなお話……かも
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【子供のように】


悪役令嬢ってものに転生したらしい。
小説投稿サイトとかライトノベルでは人気のジャンルだってことは知っていたけど、まさか自分が巻き込まれるなんて。

第一王子の婚約者になんかなりたくなかったのに、避けられなくて。
侯爵令嬢として恥ずかしくないように、将来の王妃として務めを果たせるように、厳しく躾けられ勉強の日々。

貴族らしく、令嬢らしく、常に上品に微笑み、感情を隠し、婚約者の王子がボンクラでもどうにか手綱を握って国のためにと尽くして……

それなのに。
やっぱり私は悪役令嬢で。
王子はあっさりとヒロインに心変わり。

市井で育ったという、ピンクの髪の男爵令嬢。
これでもかというくらいのテンプレで、聖女と呼ばれる彼女は子供のように無邪気に笑う。

狡い、と思った。
婚約者を攫ったヒロインが……ではない。

王子が、狡い。と思ったのだ。
私だってその子とお友達になりたい。

一緒にカフェに行って、街を歩いて。
アクセサリーを買ったり、お喋りしたり。
二人で遠乗りに行って、花畑を見たり。
人目を気にせず、笑い転げたりしたい。

婚約なんて、破棄でいいから。
そこを代わってよ王子様。

私にはできない。
侯爵令嬢だから。悪役だから。
あの子はヒロインだから。

…………本当に?

王子の心を癒せるヒロインなら。
光の聖女様なら。
悪役令嬢を救ってくれたっていいじゃない。

話しかけてみよう。
歩み寄ってみよう。
本音を打ち明けて、仲良くしようって……



物語は破綻した。
私たちは、私と彼女は。
国も王子様も放り出して、

今は隣国で冒険者をしている。
子供のように笑いながら。



10/13/2024, 2:26:12 PM