薄墨

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とけいのはりがかさなって、とけいがぽーん、となる。
まだちいさいぼくでもわかる。
12じだ!

時計の針が重なって、ぐぅんと大きく伸びをする。
もうすぐ昼休憩の時間だ。

時計の針が重なって、鳴り出したアラームをとめる。
そろそろサークルに顔を出しにいく時間だ。

時計の針が重なって、目覚まし時計を叩いて起きる。
夜勤明けのブランチを作る時間だ。

時計の針が重なって、正午をラジオが告げる。
さあ、いよいよ、今日のピークがやってくる。

時計の針が重なって、白い湯気がふわふわとたつ。
もうすぐ饅頭が蒸しあがる。

時計の針が重なって、荷物を取りまとめて立ち上がる。
今から乗らなきゃならない列車が来る。

時計の針が重なって、慌てて組んでいた腕をほどく。
もう帰らなくてはいけない時間。

時計の針が重なって、からくり時計が動き出す。
もう待ち合わせの時間は過ぎているのだけど…。

時計のはりが重なって、日直さんが前に出る。
いただきますの、給食の時間。

時計の針が重なって、トンビたちが騒ぎ出す。
もうすぐ飯を持った人間が、公園にやってくる時間。

時計の針が重なって、チッチッ時を刻み出す。
ふぅ、どうやら上手く直った。

時計の針が重なって、私は装置をひっぱりだす。
元の時代に帰る時間だ。

9/24/2025, 2:01:37 PM