マハーシュリーの夏巳

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【お題:奇跡をもう一度】

奇跡って
実は この世には案外なくて

水が高いところから
低いところへ流れるように

そうなるべきものが
当然のこととして、
起こるのではないか

と思うことがある

村上春樹のエッセイに
通常なら、
あり得ないだろ
と突っこみを入れたくなるような
話があった
(でも本当)

本が今、手元にないので
うろ覚えだが

彼が小説家になる前に
経営していたお店の話だった

用意しなければならない、
まとまったお金があり
そのうちの数万円が
どうしても用意できない

明朝には納めないと
お店を存続できない

という内容だったと思う

彼と奥さんは
万策尽き果て
夜道をトボトボと
歩いていた

そのとき なんと

足りない金額と
全く同じ金額分の
一万円札が数枚 ひらひらと
飛んできたというのだ

たしか
住宅街か何かで
村上夫妻のほかに
歩いている人もいなければ
誰かが上から
飛ばした様子も全くない

しばらく悩んだ末
そのお金を借りることにして
翌日、全額を納めた
といった内容だったと思う

結果からいえば
お店があって
小説を執筆、
デビューとなったわけである

村上春樹は
小説を書き
世に出す必要があったから

奇跡みたいなことが
そこで起こったのではないか

逆から言えば
彼は作品を世に送り出すことが
必要だったから

当然 起こるべくして
起こったことで
自然の成り行きだったと言える

彼が小説家になりかったから
ではなく
あくまでも
世の中がそれを必要としていたから

起きたこと、なのだろうと思う

10/3/2023, 12:17:51 AM