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今日、この街を出る。
都内の大学に受かり引っ越しを終えて後は電車で向かおうとした時、この街には二度と戻らないということで
せっかくなら最後に見て回って行こうと思って記憶に
残る場所へ行ってみた。まずは駄菓子屋が近くにあった
公園へ行くとそこはもう荒れ地で駄菓子屋もやっていなかった。中学校からは疲れてすぐ帰っていたのでこの道を通らなかったからやっていなかったなんて。
少し切ない気持ちになりながら、また歩き出す。
そういえば、通っていた小学校は人数が少ないためあと 
1年したら廃校になるらしい。もうあの小学校を見ることもないのだろう。
その他にも色々な場所が潰れていたり、なくなっていた
ためもう見に行く場所はなくなり時間がきた為駅へと
向かった。待っている時、会話が聞こえた。
「ねぇ、この駅もう少ししたら廃駅になるんでしょ。」
「そうなんだ。もうこの街も寂れてきたわね。」
電車が来たので乗り込む。そうか、もうすべて無くなるのか。どうしようもなく苦しくなる。
小さかったあの頃、私にとってこの街は世界の全てだったのに、ここ以外にも街はありこの場所はちっぽけなのだと知った。そして今思い出の場所はすべて消えてしまった。でもそれはよくあること。皆いつかは寂れて消えてしまうものなのだ。
電車の窓から見える景色は酷く色褪せていた。
「さよなら、私は二度と帰らない。」
思い出に別れを告げて私は眠った。


『街』

6/11/2023, 11:23:00 AM