愛の言葉が浮かばないので。
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例えば、言葉に出来ないけれど確かにこの胸の内を滾らせてくれるような文字を書く君が。
筆を折ってしまいそうになるのなら。
私は先ず
そのペンとそれを握る中指の付け根に口付けたい。
それでも理解出来ないと言うのなら。
次は手の甲と、手首の背を。
それから失礼だけど、手を取ってペンを握り込む親指の付け根にもキスがしたい。
まだ分からない?
では、噛んでみようか。
小さく軽く、君の大事な右手にチクチクと歯が当たる感触はどうだろう。
けれど、理解してほしい。
言語化出来ない僕の代わりに、滾らせてくれたこの熱意で以て。
こう応える以外の術が僕には無いのだから。
それから僕は、君の正座を斜め後ろから見るのが好きなんだ。
この丸い肩と緩やかな腹から、喉を伝い耳や目と脳みそで君が紡ぐ言葉が好きだ。
だから例えば、君が嘘でも僕を"きらい"なんて言おう物なら。
僕こそ正座をして、一体僕の何をきらいだと感じたのか聞かせて欲しい。
僕と君とでは得意な事が違うから、君の得意を上手に出来るように僕に教えて欲しい。
君は違和感に敏感だから、僕よりずっと色んな物が見える。
僕はてんで苦手だから。
服の前後が違っていてもまるで気付かない。
いつも君が教えてくれる。
だから、きらいな理由もいつもの様に教えて欲しい。
だけど、もし本当にそれが嘘なら。
僕は喜んで、騙されたぁと言ってゲラゲラ笑い床を転げ回る。
ついでにお風呂の掃除当番も僕がしよう。
君の手がこれ以上凍えてしまうのは、良くない。
2/13/2024, 12:41:19 PM