ゆじび

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遠くの声



死にたくありません。
痛いのは嫌いですから。
消えてしまいたいです。
生きるのが辛いですから。
..死にたくない。それだけです。

いつこのように思い始めたのかはよく覚えていません
この世界に私一人のような気がするのです。
何も聞こえません。なにも聞きたくありません。

犬の鳴き声が聞こえます。
楽しいのでしょうか。
嬉しいのでしょうか。
こっちまで楽しい気持ちがするのです。

毎日聞こえた鳴き声は聞こえなくなりました。
一つ噂があります。野良犬が住宅街で人を噛んだそうです。
その後野良犬はゲージに入れられ車に詰め込まれて
どこかにつれていかれたと言う話です。
噂は嘘かも知れません。野良犬はいつも吠えていた犬ではないかも知れません。
でも、あの声が、鳴き声が、
楽しいでも嬉しいでもなくて、
苦しい、死にたくない、生きたい、助けて欲しい
そんな意味だったら?
私は一つの命が必死に助けを求めている声を
いい気持ちで聞いていたら?

怖いです。なにも聞きたくありません。
黙ってください。なにも考えたくありません。


「助けて」そう聞こえた時、なにも聞いていない。知らないで済ます。
そんな私にもしなってしまったら?
今よりも、何倍も何倍も苦しい想いをするんだろう。
私も、助けてと言った人も。

だったら聞きたい声が聞きたい。
どんなに離れていても。どんなに遠い声でも。
助けたい。考えたい。
助け方を、楽しませ方を。
聞こえなくても。声が聞こえなくても。
助けたい、楽しませたい。
こんな事を考えられている内は、まだ生きれるんだ。
考えられなくても、助けてーって言ったら誰かが君のことを考えるから。
君は死ねない、君を救おうとする人がどこかにいるから。二人でも、一人でも君を救って見せるから。

4/16/2025, 10:30:05 AM