この思いは文字通り墓場まで持って行くつもりだった。
諦めるべく、今まで断っていた縁談を受けて別の幸せを掴もうとしていたのに。
「許さぬ……お主はワシのものじゃ」
何だ、一体何が起きている。
黒鞄、押し込むように詰め込んでいた釣書と相手の写真。
養い子によってひっくり返された鞄の中から吐き出されるように出てくる、それらを見つけた俺の想い人。
てっきり言祝いでくれると思っていただけにその反応は予想外だ。
「もっと大切にしてやろうと思っていたが……これは仕置きが必要なようじゃな」
「し……仕置きって何でだよ」
「それも分からせてやろうな……お主の身体に」
そのまま暴れる俺を飄々と抱えあげて向かうのは寝室だ。
布団の上転がされ、いつもは優しく脱がす服を強引に剥かれて、シャツのボタンが弾け飛ぶ。
逃げられないように長髪がシュルリ、手首に巻きついた。
「人の気持ちを弄ぶな、常々言い聞かせておったのにお主には通じていなかったんじゃな」
「弄んでなんかいない!」
「御託はいらぬ……もう逃がさぬよ、」
嗚呼、涙をぼたぼた零しながら俺の名を呼ぶお前が心底愛おしい。
こんな関係は駄目だと頭では分かっているのに、その心地良さにうっとりと目を閉じた。
2/21/2025, 12:28:06 AM