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「星を追いかけて」(戯曲風)

或る昼下がりのオフィス内の窓際のデスクで
小柄な女性がPCの画面上に各製菓メーカーのHPと睨めっこしていた
名を馳部と云う。

「…うーん…。ここはビンが可愛いんだけど、形がイマイチなんだよなぁ…
こっちは紙袋がレトロでいいんだけど、味がイマイチ…」

PC画面には幾つかの製菓メーカーの金平糖の販売ページが表示されている
カタカタとキーボードを打ち込む
新たに製菓メーカーの金平糖を扱っているHPを開く

PC画面に新たに写し出されたHPの画面。
色とりどりの金平糖の写真が写し出されている。
金平糖の突起部分を拡大している。

「あのトゲトゲを作るのって本当に大変なんだな。
ここのメーカーの金平糖。一つ一つが単色で纏められてるんだ。
この青色に透明度の金平糖。めちゃくちゃ好みなんだけど、
トゲトゲが…トゲトゲさえあれば、完璧で即購入なんだけど…っ…」

PC画面にはカーソルが購入ボタン付近を彷徨っている

「トゲトゲはともかく、後から見て売り切れの表示を見てガッカリするより
購入してから、青色に透明度のある金平糖を眺めてトゲトゲにちょっとだけ
ガッカリした方が精神的ダメージは少ない…?」

青色の金平糖が写し出されているページを見ながら少し首を傾げる馳部
後ろから一人の男性が近づき、男性の手が馳部の手に近付く

カチッ

「えっ?」

馳部の小柄な小さな手を包んでしまうぐらいの大きな手が重なっている

「代金半分、送料全額を出すから、購入手続きをしてくれ」

長身で短髪のスポーツ刈り風の男性

「ちょ、係長?なんで?」
「いいから。ほら、購入手続きを」

訳も分からなく購入手続きをする馳部
その姿に微笑む係長と呼ばれた男性

星を幾つも追い掛けて
青色で透明度のある金平糖を購入した(個人用/20個入り)

7/22/2025, 5:34:12 AM