花畑
赤、ピンク、白、青、紫、オレンジ、黄色。
色あざやかな花畑。
家族旅行かカップルのデートか、理由はそれぞれ。でもおんなじなのは、訪れた人はみんな、鮮やかさに目を奪われている、というこ
と。
そんな中。
花たちの間を、小さな影が蠢く。
時に悠然と闊歩し、時に猛烈に走り出す。
赤、ピンク、白、青、紫、オレンジ、黄色。
そんなこと知ったことか。光り輝く色たちの間を、したり顔の黒猫が進んでいく。
おい、黒猫。お前は花を観ないのか?
僕が小声でささやくと、
にゃ、と小さく鳴いて一瞥し、その場で寝そべってしまった。
ここにいるってことは、花が好きなのか、それとも、まったく意に介さず、ということなのか。
百花繚乱、千紫万紅の中の、一匹の黒猫。
周りに流されない強さ。埋れない強さ。
お前はすごいな。 そう言って僕は彼の頭を撫でた。
9/17/2024, 11:21:45 PM