いぐあな

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300字小説

竜と乙女

「1000年先も我は其方達の人生を犠牲に生きるのだろうか?」
 この神殿に封印された竜の我を慰める為、国の王は乙女を一人、神殿に閉じ込め、世話をさせる。だからと言って孤独から断ることも出来ず項垂れる我に乙女が笑った。
「1000年先の未来はきっと貴方様にも私達にも良いものになってます」

 そして来たる1000年。我の封印は解けないままも、魔法技術は発達し、月の裏側まで行けるようになった。
「……では」
 我の魂を竜の身体から離し、一時的に人間そっくりの人形に宿す。
「不思議なものだな」
 しかし、これで我も乙女達の世話にならず、自由に動ける。
「それでは外へ参りましょう」
 乙女に手を引かれ、私は青い空の下に歩き出した。

お題「1000年先も」

2/3/2024, 12:11:57 PM