いつからか、顔も姿も知らぬ貴方と文通をするようになりました。
出会いは覚えてはおりません。
きっと些末のことだったのでしょう。
貴方との文通には、決まりがありました。
一月に一回であること。
お互いの手紙に、同じ言葉を出すこと。
そして、お互いの土地の花を贈り合うこと。
贈られる花から、貴方の住む土地は厳しい寒さの土地であることは大いに伝わってきました。
それでも送り続けられる小花たちに顔を緩ませ、
こちらからは大輪の花を贈っていました。
まるで、夜の輪郭を溶かして綴ったような貴方の文。
いつの間にやら惚れ込んでいたのでしょう。
あなたの言葉に一喜一憂したものです。
温かな貴方は、私の文を陽だまりで育てたようだと言ってくれましたね。
それが何よりも嬉しかったのを、今でもよく覚えています。
貴方の姉上には感謝をしなくてはなりませんね。
貴方が死んだ後暫くしても、彼女は文を綴って下さった。
その上、愛しくて仕方がないはずの貴方を送ってくださった。
今になって、小さな灰になって、ようやく会えた貴方。
今度は私が出向きましょう。
最後の手紙を、貴方へ。
2/18/2025, 11:13:38 AM