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『部屋の片隅で』

⚠二次創作

少し休憩するために仮眠室へ行くと、今日も彼が部屋の片隅で昼食を食べていた。
黄色いつやつやの卵が乗った卵かけご飯。
あまりにも美味しそうで、お腹が空いてくる。
じっとそれを見つめていると、私の視線に気がついた彼が振り返る。
私が彼の手元にある卵かけご飯を見ているのだと分かると、彼はやらないからなというように茶碗を私から遠ざけた。
私は卵かけご飯を見ていたことに気づかれたのが恥ずかしくて、ご飯が視界に入らないように目線を泳がせる。
すると彼は安心したのか、向き直ってご飯を食べ始めた。
私は仮眠をとるためにベッドに横たわり、毛布に包まって目を閉じる。
しかし、空腹のせいで眠れない。
何分かそのままじっとしていたものの、眠くなる気配がないので、起き上がってベッドから出ようとしたときに、カパッと炊飯器を開ける音が聞こえた。
なんとなく音のした方を見ると、彼と目が合った。
彼は私を手招きしている。
なんだろうと思いつつ行くと、卵を割り終えた彼が茶碗をこちらに差し出してきた。
「ネコ、食う?」
一瞬迷ったものの、卵かけご飯の誘惑に負けて頷いた。
茶碗と箸を受け取り、二杯目をかきこむ彼の横で卵とご飯を味わう。
今まで食べたことがないくらい美味しかった。
「これ、なんのお米ですか?」
知らん、実家から届いた米、と彼はそっけなく答える。
私は気になりつつも、そのまま食べ進める。
ものの数分で食べ終わった彼を見て、絶対もっと味わって食べた方が美味しいのに、と思った。

12/7/2024, 11:12:46 PM