お母さんは忙しい。
毎日5時に家を出てお仕事へ行く。
お父さんはいない。お母さんはあんまりその人のことをお話ししないけど、わたしには、彼女に複雑な感情がわだかまっているのを、なんとなくわかっていた。
朝、わたしは、いつもお母さんが出て行った後に起きている。
小学校から使っている化粧板のベットから、上半身を起こす。古いスプリングが少し唸った。伸びをすると自分の骨も音を立てるように思える。それから、立ち上がり、リビングへと入る。カーテンはすでに開けられていて、弱い冬の光が、そっと肌を手入れするようにあたる。朝ごはんのパンがテーブルの上に無造作に置いてあった。
「あ」
パンの横に、包みがあった。花柄の布で包まれたもの。
今日はお弁当作ってくれていた!!
わたしの今日は、最強の日だ。
11/27/2024, 5:58:20 PM