寒さが身にしみて
「寒いなぁ…」
自然と言葉が出る。
条件反射というものだろう。
肌をツンと刺すようなこの時期になるといつもこうだ。
この言葉を返してくれる人はとっくにいないのに。
君がいなくなって何度目の冬だろうか。
「すぐにこっちに来ずに、楽しんでから来るんだよ」
そんな、約束も一体いつのことか。
結局指輪を外したことはなかった。
怒りそうだなと思ったが、僕はそれで満足している。
「生涯をかけて、君を愛していることを証明するよ」
「重いって」
君は笑って少し引いていたが、僕は当然本気だった。
やっとこさ、その証明が終わりそうだ。
そっちに行くまで大分近づいたが、神様は意気地が悪く、もう少しこの世を楽しめと言っているみたいだ。
未練はないが、土産話は多い方がいいか。
寒さが身にしみるこの季節、愛しの君のため、さて、どこへ行こうか。
1/12/2026, 12:11:05 AM