大切な人の声を忘れたんだ。昔は明瞭だったその輪郭はぼやけて霞み、私の脳内を漂っている。どれだけ、何をやっても思い出せないんだ。私を大切にしてくれた、あの人の声が。私を叱る声。私を茶化す声。私を窘める声。私を満たす声。あの人がくれた全てを、私は忘れてしまったんだ。もう一度、もう一度だけでいい。私にその声を聞かせてくれ。
5/2/2026, 4:53:54 PM