好きなものを好きと言えなくなった。いつからだろう。人目を気にするようになったのは。自分の好きなものは、誰かに忌避されるものかもしれない、なんて。
誰かに「おまえの趣味はおかしい」だなんて、言われたわけではない。仮想のモンスターをつくって、攻撃しているのは自分自身。つまらない大人になったものだ、とこれまたつまらないことを考えながら、寂れた街を練り歩く。日が沈む少し前の、昼でも夜でもない曖昧な時間。
スーパーに駆け込む主婦。帰路につくランドセルを背負ったこどもたち。きゃらきゃらとこどもたちの笑い声が響く。おひさまに逆らうように、まだもう少し、と遊んでいるらしい。道中で拾ったまぁるい小石を見せ合って自慢げな表情。
西日が差し込む。とても綺麗な石なのだろう。光が反射して、すこし、目に痛かった。こどもたちは楽しそうだ。
今楽しいことを、やりたいようにする。いつかの己もそうだった。あまりに目映いそれに、ただ、目を眇めた。直視するには、あまりにも煌めいていたので。
テーマ「きらめき」
9/4/2024, 11:39:20 AM