君の背中を見ながら歩く
私は並んで歩くより、そのほうが好きだな
なんとなく、君に前を歩いてもらって、その背中についていけば、面白いことが起こるようなワクワクを感じるから
君は私じゃ届かないくらい、楽しくてすごい人だからかも
「りーちゃんはいつも私の後ろを楽しそうに歩くよね
たまには私を先導してくれてもいいんだよ?」
並んで歩かない?と言わないあたり、君も今の状態が心地いいのかな?
「やめておくよ
私は方向音痴だから、悠を巻き添えに変なとこ行っちゃう」
本当に道に迷うという意味ではなく、人生に迷った末に変な行動に出て君に迷惑かけたくないって意味だけどね
なんか、君からは道じゃなくて普段の私の生き方について言われた気がして、そんなことを言っちゃったよ
「いかんね、その考えは
自信を持ったほうがいいよ
りーちゃんは普段はまあ、抜けたところもあるけど、環境さえ整えば超すごいんだから」
あまり自覚はない
けど、君が言うならそうなのかな?
「でも、悠は私の先導なんて必要ないでしょ?
普段から悠は色々と、すごいじゃない」
「まあね、私は超人だからね
みんなを引っ張るのは超得意だからね」
そう言って笑った君だけど、一瞬だけ複雑そうな表情をしたような
気のせいかな?
君は私の背中についていってるつもりかな?
実は私こそ、君の背中を追いかけていたのだ!
まあ、それを言っちゃうと、君は変なプレッシャーを感じそうだから言わないけどね
私はよく面白いとか、頼りになるとか言われるけどね、君と違って、他人に優しくはないんだよ
わりと打算でやってるところがあるよね
私は自己中心的な奴なのです
だから君みたいに、優しさゆえのとっさの行動力ってものが無いわけだよ
でも、なんでかなぁ
君といる時は、打算的な付き合いを忘れてるし、君を見てると、他人にも優しくしないとな、とか、他人のために何かしようかな、なんて考えられるんだよね
私みたいな人間でも、君の背中についていけば、優しくなれるのかな?
なんて考えて、なれたらいいなって願望を持つようになったよ
ま、ダメだったとしても、大切な君と一緒に過ごせれば、満足だけどね
私も君の背中についていってるんだよ、という言葉を噛み殺して言う
「ついて来たまえ!
私がこれからも面白い世界へ君を連れて行ってあげよう!」
「うん、楽しみにしてるよ」
振り向くと、純粋な笑顔がそこにあった
後ろに立つ君の背中は、まだまだ遠いなあ
2/9/2025, 11:23:52 AM