まとめてですみません。
bye bye… 曇り もう二度と 記憶 です
bye bye…
「もうさ、バイバイしようよ」
「…え?」
突然の彼の言葉に、バイバイって何?今日のデートはもう終わりってこと?それとも…別れるってこと?と、呆然としていると
「自分に劣等感を持つのはさ」
ニコッと笑われる。
「…何…言って…」
「さっきからさ、すれ違う人と自分を見比べては、ため息吐いてるでしょ」
フッと笑われ
「…見られて、たんだね」
気づかれていたことに困惑して思わず目を逸らすと、隣にいた彼は私の目の前に立ち
「俺は、キミがキミだから好きになったし、そのままのキミと一緒にいたいと思ってる。だから、誰かと比べることはもうやめよう」
私の目を見つめ微笑む。
「…でも」
泣きそうな私の髪を撫で
「すぐじゃなくてもいい。キミが自信を持てるように、俺も想いを言葉にするから。ね」
優しく諭され
「…うん、頑張る」
「よし」
頷く私の髪を、彼はぐしゃぐしゃにかき混ぜながら、ニッと笑った。
「もう」
ぐしゃぐしゃになった髪を押さえつけながら
「bye bye…今日までの私」
そっと呟き、前を向くように笑ってみたのだった。
曇り
デートの待ち合わせに向かおうと外に出ると、曇り空が広がっていた。
「曇りかぁ」
いつもなら空を見上げため息を吐くところだけれど、今日はどんな天気でもニコニコだった。
「だって、キミとデートだから」
キミと会える日は、僕にとってはいつでも晴れ。
「早く行こ」
晴れやかな気持ちで、僕は待ち合わせ場所に向かうのだった。
もう二度と
「もう二度としないように気をつけます」
俺の目の前で頭を下げる部下。発注数を間違えて多くしてしまい、上司である俺が、何とかしたのだけれど…。
「気持ちはわかった。だから、頭を上げて」
「はい。本当に、すみませんでした」
謝罪をし、彼は頭を上げる。
「今回は何とかなったし、そんなに気にしなくてもいいよ。今度から気をつけてくれれば」
「…はい」
と言っても、落ち込んだ彼の顔は晴れない。
「ミスは、気をつけていてもしてしまうもの。だから、ミスをするのは仕方のないことだと思う。俺もするしね。ただ、ミスに気づいたらすぐに知らせてほしい。早ければ早いほど対策の仕様があるから、そこはお願い」
「はい」
「何かあったときのために俺はいるんだから、ミスしたら。なんて考えないで、今まで通りに頑張って。頼りにしてるよ」
笑顔で彼の肩をポンと叩くと
「はい。期待に応えられるように頑張ります」
いつもの頑張り屋な彼に戻る。
失礼します。と俺に背を向けた彼の背中を見ながら、負けないように俺も頑張らないとな。と思うのだった。
記憶
「俺と付き合ってください」
ずっと好きだったキミに想いを告げると
「…考えさせて、ください」
キミは悲しそうに目を伏せる。
「うん、返事は急がなくていいよ」
笑顔で応えたけれど、内心では
イヤって言われなかったんだし、望みはあるかな?
とか
すぐに断るのは申し訳ない。って思って、返事を後にした。とか?
と、ぐるぐると考えていた。けれど、そんなことを考えながらも、悲しそうな顔をするキミのことが気になり
「…もしかして、俺に想われるのはイヤだった?」
そんな言葉が口をついて出た。
「え、違う、そんなことない」
2人きりで話すことはないけれど、みんなでいるときに話すと笑顔を見せてくれる。その笑顔を独り占めしたいな。という思いから好きになったキミに、迷惑だと思われるのはイヤだった。
「じゃあなんで、そんなに悲しそうなの?」
「…私ね、男の人が恐いの」
胸をギュッと押さえ、キミは俺から目を逸らす。
「え?」
「想いを伝えてもらえてうれしいのに、ずっと2人きりでいるのは、できなくて…」
そう言って俯くキミに
「それって、何かそうなる出来事があったってことだよね?」
「…うん」
「なら俺が、そのイヤな記憶を、楽しい記憶に変えられるように頑張るよ」
俺は笑顔を向ける。
「でも…」
「今は、友達みんなで話したり、遊んだりしよ。そうやって過ごす中で、俺と一緒にいても大丈夫だ。って思えたら、付き合ってくれますか?」
「…ありがとう」
目を細め笑うキミに、キミが笑顔でいられるように頑張らないと。と思いながら、笑みを返したのだった。
3/26/2025, 8:01:47 AM