雪原の先へ
絵の具で塗りたくったかと思うほどに地面に真っ白に敷かれた雪は、振り返ればスタンプを押したかのようにくっきりと黒い足跡が着いている。もっと雪の積もる地域ならばこの足跡には白い地面との高低差がでて、雪に身を投げ出せばどこに行ったのか一瞬分からなくなるのかもしれない。鬼ごっこをする時に有利だ。黒い足跡を辿って歩く。今年の雪は早い。いつも12月には間に合わず、クリスマスが終わってから降り始めるのに。今年はまだギリギリ11月だというのにもう雪が降り始めていた。すでに秋を感じることができるのは校庭にそびえ立つ赤い紅葉の木からだけだ。ほかの木はもう葉っぱが枯れ落ちているのにこの木はまだ真っ赤な紅葉を落とそうとしない。本当は偽物で、次の秋が来てもまだ赤を主張し続けるんじゃあないかと思わせるほどに。教室は嫌いだ。寒いからって密閉してピッタリ肉団子になってくっついて。暖房も付いていないのに妙な熱気がある。換気がきちんとされてなくて息苦しい。だから雪が降ってもわざわざ外で昼飯をたべる。感染症対策にもなるし。いつもの場所は雪がじゃまをして座れなそうだったから、紅葉の木のそばでたべる。雪と紅葉のヒュージョンなんてなかなか見られっこない。膝が震えるほど、歯が楽器になるほど寒いが、雪の冷気で息がしやすい。喉まですっと通るような涼しさはどこか自分を冷静にさせた。このまま雪が降るのが止まなければいいのに。
12/8/2025, 4:03:24 PM