箱庭メリィ

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「じゃあ、約束ね!」

指切りげんまんと小指を絡める。
約束好きなあなたに触れられる唯一の時。

「貴女はきちんと約束を守ってくれるから、大好き!」

笑顔のあなたを見る度に、内心複雑になる。
どうして私がこんなにもあなたとの約束を守っているか、貴女は分かり得ないだろう。


貴女と友達になってもう十年経つけれど、ひとつだけ。
たったひとつだけ、貴女との約束を破っていることがある。

「お互いに秘密はなし。なんでも話すこと。約束ね!」

八年前にした約束。
いつも名残惜しくなる離れる小指を、この時ばかりは早く振りほどきたくて仕方なかった。

ごめんね。
これだけは、貴女にも話すことが出来ない。

(私たちの好きは相違しているのよ)

贅沢な望みは言わない。
ただ、貴女の小指に触れる。それだけでいい。
それだけを許して。


/『誰にも言えない秘密』





とても窮屈な部屋にいる。
まっくらで、身動きも取れない。
手足は折り畳まされ、目を開けても壁があるだけ。
“生きる”ことしか許されない部屋。

早く出たい。
どんどん窮屈になる部屋に不安を覚える。

なのに不満がまったくないのは、温もりに満ちているから。

(早く出ておいで)

遠くで何よりも安心できる声が聞こえる。

新しい世界へ出るまで、あと数十日。


/6/4『狭い部屋』





「正直者が馬鹿を見る」から、ずるく生きようとしている。

そんな純粋な人ほど、バカを見ているのではないのかい?


/6/2『正直』

6/6/2023, 9:31:39 AM