Frieden

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「神様へ」

ここは じごくの かたすみ。
ちいさな あくまの フラム と サンドル は
なにか かんがえごと を している みたい。

フラム は いいました。
「ニンゲンども は 神様 を 信じすぎだ!
どうにかして 信仰を なくそうとおもう!
サンドル、 いい かんがえ は あるか?」

サンドル は こたえました。
「そうだなあ。 フラム、 ニンゲン が 神様へ 祈りを 捧げなくなるとき って どんなとき だろう?」

フラムはかんがえます。
「神様 が 必要 なくなった とき かな?」

サンドル は「そのとおり!」とうれしそうに いいました。
つづけて、こう いいます。「ニンゲン が 神様 を 必要 と しなくなる ためには どんなことを しようか?」

フラムは また かんがえます。
「ぼくらが 神様 に なれば いいんじゃないかな?」

サンドル は 首を よこに ふります。
「そんな こと を したら、 この じごく から ぼくらの いばしょ が なくなっちゃうよ!」

フラム は いいました。
「じゃあ、 どうしたら いいの?」

サンドル は いいました。
「ニンゲン に チカラ を あたえたら いいんだ。
神様 は 全知全能。 だから 病気 を 治す のも 国 の 運命 を 決める のも 全部ぜんぶ、 神様 が やるんだ。」

「でも、 もし ニンゲン が 病気 を 治せる ように なったら? 国 の 運命 を 自分で 決められる ように なったら?」

ふたり は いいました。「祈り は 必要 なくなる!」

サンドル は つづけます。
「そう! 信仰 は いらなく なる。 謀反 を 起こす よりも いとも かんたんに 信仰 を 破壊 できるんだ!」

しかし フラム は またまた かんがえます。
「こんな こと を したら きっと 教会 から 弾圧 を 受けて 罪もない ニンゲン が じごく に 来てしまうよ?」

サンドル も かんがえます。
「そうだね。 だが それは しかたの ない ことだ。 だって、 神様 を 信じる ひとたち に とって、 『都合の悪い真実』を 暴いて しまった の だから。」

「ここで 『神様を信じるニンゲン』 と 『チカラを得たニンゲン』 という ふたつの 勢力 が うまれる。」

「たくさんの ギセイ を 経て、 少しずつ チカラ が 『神様を信じるニンゲン』にとって 不都合 な モノ へと かわる。 そのうち だんだん、 神様 を 疑う ニンゲン が ふえていく。」

「これを 少しずつ 繰り返す ことで、 さらに 神様 は 信仰 されなく なるんだよ。」

「ほら、そうでしょう? そこの ニンゲン の みなさんも、 おそらく いま おおまじめに 神様 を 信じて いない。 それが 証拠 だよ。」

「ニンゲン は 『科学』 の チカラ で、 信仰 を 失った。 カタチ だけは 残っている かも しれないが、 本来あるべき 信仰 は、 もう ここには ないんだ。」

フラム は いいます。
「アクマ が 信仰 を 説く なんて ヘンだなあ……。」

サンドル も いいます。
「たしかに そうだね。 でも ぼくら が 『信仰』 を 理解 していないと それを 壊す ことも かなわない。 だから ぼくらこそ 知って おかないと、 ね?」

フラム も なっとく した かおを しました。

きょうの おはなしは これで おしまい。

4/14/2024, 3:43:14 PM