雪の静寂
「うぅ、寒っ」
目が覚めると、布団の中にいるというのに寒かった。
「何でこんなに寒いんだ?」
仕事を休むわけにはいかないし、布団の中にいても寒い。しぶしぶ布団から出てリビングに行くと
「あ、おはよう」
朝食の準備をしているキミが振り向く。
「おはよ。今日は寒いね」
キミが入れてくれたコーヒーを飲もうと、テーブルに向かい、コップを手にしたところで
「寒いよね。でも仕方ないよ、雪が降ってるし」
「え?雪?」
キミの言葉に、手が止まる。
「雪が降ってるの?」
「うん、外を見て」
パタパタと窓に向かい外を見ると
「…雪だ」
しとしとと雪が降っている。
「だから寒いのか。仕事行くのイヤだな」
思わずため息を吐くと
「そうだね。でも私、雪の静寂が好きなんだよね」
「雪の静寂?」
「うん。耳を澄ませてみて」
言われた通り耳を澄ますと、静けさに包まれる。
「…静かだね。心が穏やかになるよ」
「でしょ。だから好きなんだけど、今はゆっくりしてる場合じゃないか」
苦笑するキミの手を取り
「朝ご飯食べようか」
テーブルへ戻るのだった。
12/18/2025, 9:43:08 AM