いつもこの季節になると無性にアイスを食べたくなる。近くのクーラーの効いたコンビニに入り、ショーケースを開けて、手を突っ込む。まるで氷水に手を浸したような感覚を覚え、とても気持ちが良い。バラ売りの棒アイスを2本、片手に持ってレジへと向かう。この時、自然と足取りが早くなる。なぜだろうか。
コンビニを出るとモワッとした熱気が前から風と共に襲ってくる。身体中の汗腺から水が滴り、一瞬にしてワイシャツは水浸しになる。
駐車場の車に戻ると、車の中には、額を腕で拭っていた、こんな暑い中長袖の黒シャツを腕まくりしている恋人の姿があった。
「おう、買ってきたか」
「ええ、ボス。やっぱりこんな暑い日はアイスに限りますよね」
「そうだな。それじゃ、俺に1本くれや」
夏の猛暑の中、2人で過ごす時間は、熱くもありながら、アイスで冷やされる、爽やかなものであった。
6/28/2024, 4:26:00 PM