僕は星。夜空を彩る無数の星のひとつ。ずーっと昔は地上に生きている人間だったみたいだけれど、地上を離れてからはずーっと星として空から地上を見守ってきた。
ある日、月が僕に言った。
「お前は今夜、流れ星になりなさい。そして、地上で新しい生を得るのです」
僕は、ついに来たか、と思った。僕と同じ頃に星になった仲間は、みんな流星になって、地上で生きてる。僕の番が、ついにやってきたんだ。
それから数時間。僕が流星になるときがやってきた。
僕は周りの星に別れを告げて、地上に向かって駆け出した。
周りの星は「また会おうね」「良い生を!」なんて声をかけてくれる。僕はそれに光で応えた。
地上が近づいてくる。からだが熱い。星としての僕はここで消える。星として見守ってきた地上の景色が頭の中を駆け巡る。
星としての日々は素晴らしかった。地上での次の生も素晴らしければいいな。
僕はひとり夜空を駆ける。駆けて駆けて、そして――消えた。
その日、地上に新しい命がひとつ、誕生した。
2/22/2025, 2:24:26 AM