川柳えむ

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 1000年先も、いや、それよりももっと先も、ずっと一緒にいたい。

 いくらそう願っても、いつか寿命は訪れる。
 ましてや、君と私では種族すら違っていた。
 君は人間。どんなに長くても100年もすればいなくなる存在。
 私はそれよりもずっと長寿の種族で、同じ時を生きることはできない。
 ……できなかったのに、同じ時を生きたいと願ってしまった。

「また会いに来るから」

 目を閉じたまま、とても優しい声色で、ゆっくりと君はそう言った。

「あぁ。待っている」

 君の手を包み込むように握る。涙を悟られないように、震える声を抑えて、そう答えた。
 そしてそのまま、君は静かに眠りに就いた。

 ――君ならきっと約束を守ってくれる。
 そう確信はしていた。
 なぜなら、君は覚えていないだろうが、君がこの生を受ける前も、私は君に出逢っていたから。

 君の前世とは最悪の出逢いだった。
 その時の私達は敵対していた。お互いを憎まなければいけない立場で、本当に憎んでいたのかと言われるときっと違ったのだろうけど、そうしなければならなかった。
 そして私は君を殺した。直接手を下したわけではないが、私が殺したようなものだった。

 生まれ変わった君と再び出逢った。
 私は君に罪悪感を抱いていて、君の目を見ることができなかった。
 それなのに。何も知らないはずの君は、まるで全てを見透かすような瞳でまっすぐ私を見つめ、そして笑った。

 きっと君と再会できたのは運命だったのだろうと、そう思う。
 ――いや、運命じゃなくてもいい。
 また生まれ変わった君に、必ず会いに行くから。君が会いに来る前に、私が見つけに行くよ。

 1000年先、いや、ずっとその先の未来も、君と共に生きる為に。何度も何度も君に会いに行く。


『1000年先も』

2/4/2024, 5:04:03 AM