「声が枯れるまで好きな食べ物の名前叫んだことある?」
彼女は食べ物の話となるとエピソードトークが止まらなくなるようで、相槌を打つのが精一杯だった。
*
「ないな…いや、あるか。小さな頃にとっておいたお気に入りのスナック菓子があってそれを従兄弟に食べられたんだ。そのときは叫んだよ。」
「私が聞きたいこととは違うけど面白い。」
僕は彼女が何を面白いと言ったのか分からなかったけれど、それはどうでも良いことだった。僕と彼女にとっての時間とは意味のない会話をすることに意味があったのだ。
10/21/2024, 11:39:25 AM