『イルミネーション』
夜明けの近づく無人の公園をスミノフや缶チューハイを片手にふたりでふらふら歩いて目的地を目指す。LEDで隙間なくみっちり飾ったどこぞのテーマパークが世間では人気なようだが、ここにはご近所の自治会が手ずから飾ったチープなイルミネーションがあり、それが自分の中では断トツの人気だった。
「よくね?」
「センスあるねぇ」
連れてきた友人も似たような感性の持ち主なので気に入ってくれたようだ。まばらに輝くぼんやりとした明かりはやがて朝日に照らされて白々しく暴かれる。いたるところに絡まる黒い配線コードを見た友人は今日一エモいと言ってスマートフォンで連写を始めた。いい友人を持ったなぁと眠気の混じる頭でしみじみと思う。
12/15/2023, 3:24:21 AM